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失敗の原因を突き止めて発見した
「チーグラー触媒」

「チーグラー触媒」をご存知でしょうか?

今のプラスチックの合成にはなくてはならない触媒で、これを発見・発明したのがドイツの有機化学者カール・チーグラー(Karl Ziegler)[1898-1973年]です。当協議会webサイト内の「いろいろなプラスチック」にも紹介されているように、多くのプラスチックの重合にはチーグラー触媒が利用されています。

カール・チーグラー

(Wikipedia掲載画像)

この触媒の発見にはあるドラマがありました。

1953年当時、ポリエチレンは高温高圧下で合成しなければならず、とても危険でコストのかかるものでした。チーグラーは何とか触媒の力をかりてもっと簡単に合成ができないかと研究を重ねていました。

ある日、実験をしていると目的のポリエチレンはできず、エチレンが2つしかつながっていないブテンのみができていました。普通であれば、今回の実験もうまくいかなかったと、次の実験に取り掛かるところですが、彼は何故このような結果になったか、原因を追究しました。おそらく配合や、反応条件などを検証していったと思いますが、原因はそこにはありませんでした。

原因は思わぬところに。

反応装置の中に残っていた汚れ、ニッケル塩が原因であったのです。通常であればエチレンが2つであれ、3つであれいろいろな数でつながった分子ができるはずなのに、なぜか2つ繋がったブテンだけができているのは、ニッケル塩のような金属塩が関与しているのかと彼は感を働かせ、研究を重ねました。そしてポリエチレンを効率よく重合することのできるチーグラー触媒の発明に至りました。

この触媒はポリエチレンを簡単に重合させるだけでなく、「ブテンのみができた性質」つまり重合を規則正しくコントロールする性質も持ち合わせていました。この性質を利用して様々な性質を持つプラスチックが合成できるようになったのです。

チーグラーがただの失敗であったと考えていたら?容器の汚れまでたどり着けなかったら?わたくしたちは今のような豊かな生活をおくれなかったかもしれません。